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MOLDED POLYURETHANE モールドポリウレタン

イタリア カッシーナ社の創業者チェーザレ・カッシーナは、1960年代、初めて家具に「モールドポリウレタン」を採用しました。今でこそ車のシートに使用されるなど広く普及している素材ですが、それまでソファのクッション材には、藁(わら)、ヤシの実の繊維、馬毛(ばもう)、コイルスプリング、綿、などが使われていました。より柔らかくて耐久性のあるクッション材を探していたチェーザレが、オモチャの展覧会に出品されている人形がポリウレタン製であるのをみて、家具に応用することを考えたといわれています。
「モールドポリウレタン」の導入は、家具に丈夫な構造体をもたらし、より自由なデザインを可能にした、革命的な出来事といえます。

01: モールドポリウレタンとは

一般的に「モールドポリウレタン」と呼ばれているものは、正確には「モールド・ポリウレタン・フォーム」といいます。モールドは成型のこと、ポリウレタン(注1)は物質の名前で、フォームとは発泡させてスポンジ状にしたもののことです。(ポリウレタンのポリを省略し「モールドウレタン」ということもあります。)

02: モールドポリウレタンの作り方

モールドポリウレタンは、「ポリオール」と「イソシアネート」という2つの原液の化学反応で生まれます。2液を撹拌するとすぐに発泡が始まり、スポンジ状のフォームに膨らみます。その性質を利用して、型(モールド)の中で発泡させ自由な成型を行うのが「モールドポリウレタン」です。
モールド発泡には温度管理が重要です。温度が高すぎても低すぎても、発泡不良の原因になります。

03: モールドポリウレタンの特徴

  • 型を作ることで自由な造形が可能。
  • 表層部に緻密な発泡層が形成されるため、型くずれし難い。
  • 組織壁が分厚く多方向につながっているため、弾力性が良くへたり難い。

04: モールドポリウレタンの種類

ポリウレタンの性質は(表面)硬度と密度で決まりますが、それを左右するのが原液の配合比です。当社では、一定のポリオールに対し、イソシアネートの割合を変化させることで、4種類の軟質ポリウレタンを使い分けています。また、それとは別に半硬質ポリウレタンも発泡しています。

  • 柔らかい軟質ポリウレタン=ソファのシートや背などの座り心地を左右する部位に使用します。この部位には、スラブウレタンや綿も併用して使います。(ex.マラルンガのシート、背)
  • 硬い軟質ポリウレタン=モールドの上にすぐ布がくるような、ポリウレタンの形が出やすい部位に使用します。(ex.マラルンガのアームの側面、ブーメラン)
  • 半硬質ポリウレタン=ポリウレタンを主な構造体とする部位に使用します。

05: モールドポリウレタンはロングライフ素材

当社のソファの多くは「モールドポリウレタン+スラブポリウレタン+綿+張り地」という構造です。当社は、半永久的に使えるモールドポリウレタンと、交換を想定したクッション材を組み合わせることで、張り替え/メンテナンス時に細やかな対応ができる体制を整えています。モールドポリウレタンを使ったソファであれば、張り地や中身を交換することで、繰り返し再生することが可能なのです。

  • モールドポリウレタンは半永久的に使えます。
  • スラブポリウレタンは熱可塑性の糊を使用し、モールドポリウレタンとの着脱を容易にしています。
  • 綿はラミネート綿を使い、ポリウレタンに接着しない方法を採用しています。
  • 張り地はカバリング/張り込み共に交換が可能です。

06: モールドポリウレタン開発へのこだわり

イタリアのカッシーナでは1960年代より、カッシーナ・イクスシーでは1986年より、モールド発泡の技術開発を行っています。通常のプラスチック製品に比べて家具は大型です。高い耐久性と居住性を確保するため、モールド発泡に求められる技術レベルも難易度を増します。
カッシーナ・イクスシーの自社工場CIXMでは、研究・開発の拠点として“発泡型”の製作から完成品(家具)の仕上げまで、一貫して内製で行っています。

▶代表的なモデル その1「マラルンガ」
チェーザレ・カッシーナとデザイナーのヴィコ・マジストレッティが共に目指した開発コンセプトは、最も快適なソファというものでした。マジストレッティは本当にリラックスできるソファには、ある程度の背の高さが必要だと考え、体全体を包み込むようなバックレストの高いデザインをプロトタイプで提案します。しかし、それを見たチェーザレは背が高すぎると言って、バックレストを押しつぶして壊してしまいました。それが、ハイバックとローバックに使い分けられる2WAYという発想のきっかけです。
このユニークな発想が具現化された背景には、60年代からカッシーナが積極的に技術開発を行ってきた、モールドポリウレタンやインサートフレームの高度な技術の応用がありました。マラルンガの可動部の構造は、特殊鋼を使ったチェーンのようなインサートフレームを、折り曲げやすいようにスリットを入れたポリウレタンで包むように作られています。マジストレッティの類まれなるクリエーションと、可動する特殊構造を具現化するカッシーナの高度な技術開発力。マラルンガというデザイン史における重要な軌跡は、その両者が最も理想的なかたちで結びついた時に誕生した、奇跡的なアイテムなのです。
▶代表的なモデル その2「ブーメラン」
単身者やDINKS向けに開発されたブーメランは、背座が一体になった曲線的なデザインで、モールドポリウレタンの長所をいかんなく発揮したアイテムといえます。しかし、背座が一体のため型が大きく、均一に発泡をするのが困難という問題がありました。更に、注入口近くにインサートフレームがあるため、原液を奥まで流し込めないという、製造工程における難しい課題も抱えていました。

CIXMは注入口の大きさを見直し、流し込む原液の量や時間を変えながら地道な実験を繰り返しました。そして数ヶ月に渡る試行錯誤の末、最適な注入方法と、大きくした注入口を蓋で閉じるという新しい発想で、問題を解決しました。 ブーメランは、当社のモールド発泡技術がまた一つ進化することで誕生したマイルストーン的なアイテムなのです。

当社はモールド発泡を行うだけでなく、モールド発泡するための発泡型(樹脂)の開発、インサートフレームの設計、ポリウレタン原液の改良など、飽くなき探求を続けています。その長年に渡り蓄積してきた経験とノウハウは、これからも他社の追随を許しません。

(注1)ポリウレタン
1952年にドイツのバイエル社が発明した、ウレタン結合を有するポリマーの総称。イソシアネート基と、水酸基などの活性水素を有する化合物との付加反応により生成される。その配合と成形処理によって軟質のクッション材から硬質の断熱材までさまざまな比重のものができる。

  • 675 MARALUNGA
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