WOOD 木
天然素材は、自然の風合いや温かみといった多くの魅力を備えていますが、必ず材質による差異が発生します。特に木材には産地、品種、部位によって、それぞれ木の性質があり、木目が異なるなどの個性(個体差)があります。作り手も使い手も、天然であるが故の特性を知った上で、家具として利用する必要があります。
01: 木の種類
木の種類は大きく、針葉樹と広葉樹に分けられます。針葉樹は軽くて柔らかいため建築資材に適しています。家具においては広葉樹が使用されますが、それは基礎組織をなす木繊維(セルロース)が強固であるからです。 針葉樹は日光を浴びようと競争するように高く上に伸びるため軽く柔らかく育ちます。広葉樹は日光をたくさん浴びようと枝葉を広げるため、どっしりと重く堅く育ちます。
家具に使われる広葉樹の代表的なものは、硬くて耐久性のあるオーク、粘りがあって加工性が高いビーチやアッシュ、緻密な木肌で仕上がりが美しいチェリー、硬くて衝撃に強いメープル、重硬でくるいが少なく古くから高級家具に使われるウォールナットなどがあります。一般的には色の濃いものほど硬く、重いといわれています。
02: 木加工の近代化
木加工の近代化は、「突き板」と「木質ボード」の誕生によって飛躍的に発展しました。「突き板」と「木質ボード」が、ばらつきを均一化した安定生産や、無駄のない効率的な大量生産を可能にしました。
「突き板」は、天然木を薄くそいだ板のことです。限りある美しい木目を量産するために、面材を増やす目的で考えられました。主に良質で木目の美しい木が使用され、天然木の自然な木目や風合いが楽しめます。突き板自体の厚さは、用途によってさまざまですが、厚みがあるほど高級感が増し、質感が高まります。厚みが、0.2~0.3mmのものを「薄突き」、0.5~0.6mmのものを「厚突き」と呼んで区別します。薄突きは、同じ部材から厚突きの倍の面積が採れる、日本独自の技法です。
「木質ボード」には、薄い単板を重ねて作る「合板」、木の小片を接着剤で成形する「パーティクルボード」、木材を繊維化してそれを成形する「ファイバーボード(注1)」などがあります。反りや割れ、繊維方向による強度の差異などの無垢材の欠点を改善する目的で考えられました。
原料として未利用廃材や低質木材が主に利用されるリサイクル製品のため、製品安定性が高く、コストが安いという利点もあります。主に、テーブルの甲板や収納家具など広い面積を要する板材に使用されます。
(注1)ファイバーボード
ファイバーボードとは、インシュレーションボード、MDF、ハードボードの総称
03: 含水率のコントロール
家具製作に適した木の含水率は12%程度といわれ、乾燥が充分でないと製品になった後で収縮し、ゆがみや反りが生じることがあります。
カッシーナではまず、長年の信頼関係で結ばれた独自のルートで入手した良質の木材を、工場内にある広大な集積所に運び、木材と木材が触れ合う面が最小限になる桟木で積み上げて、自然乾燥させます。早いもので6ヶ月、長いものは1年以上かけて、含水率を30%程度にします。
次に自社のボイラー施設の乾燥システムで、厳密な管理体制のもと、いったん約8%まで落としてから裁断します。小割りされた木材は、風通しをよくするためもう一度積み上げられ、今度は日陰で約2ヶ月間、自然の空気にさらしゆっくりと12%程度になるまで戻します。
こうした工程を経て、木は中心部の水分が充分に抜き取られた品質の安定した木材となります。含水率のコントロールは、製品となった後の精度や強度を左右する、極めて重要な工程です。
04: デザインを左右する接合部の強度
家具には使用目的や頻度に応じた耐久性が求められるため、形状や構造に制限が出てきます。そして、耐久性というのは素材自体の強さや接合部の強度に左右されます。言い換えるならば、素材自体や接合部が強ければ強いほど、デザインに大きな自由度を与えるということです。
カッシーナの木工製品には、「仕口」や「継ぎ手」が頻繁に採用されていますが、昔の方法をそのまま踏襲するのではなく、仕口同士、あるいは仕口と継ぎ手のコンビネーションによって、常に改良を重ねた高度なモノ作りが行われています。それは商品に、実用に耐えうる耐久性を与え、そして同時にデザイナーのクリエーションに自由度を与えるための、極めて重要な要素なのです。
05: カッシーナと木加工の歴史
カッシーナの起源は、17世紀から続く家具工房で、現存する最古の作品としては1760年に建造されたコモの大聖堂の説教壇があります。西洋世界において、教会は常に最高水準の技術を結集させ造られてきました。その説教壇を任されたカッシーナの木工技術は、当時から抜きん出たものであったことが分ります。
1927年に創業したカッシーナ社は、1950年頃から近代化が始まります。そのターニングポイントとなったのが、「外部デザイナーとのコラボレーション」と「大量生産のための工業化」でした。外部デザイナーとのコラボレーションは、新しい発想や斬新なデザインと、それを具現化するための技術開発につながります。大量生産のための工業化では、機械を導入した効率化や分業が進みました。この時代にカッシーナは一躍、業界のトップメーカーに成長したのです。
カッシーナの強みの一つは技術開発力です。カッシーナは新しいデザインを形にする時、それを具現化するための素材や加工技術、工業化するための道具や機械類を、同時に開発します。それは、代々受け継がれてきた木加工の分野において特に顕著に表れており、伝統を踏襲するだけでなく、常に新しい仕口、新しい技法、新しい工具をも考案してきました。
また、近代においては自動裁断機などのマシンも積極的に導入しています。
木材の選別、木目の合わせ方、構造や仕口の開発は熟練のアルチザン(職人)が丁寧に行います。一方、工程によっては機械を積極的に採用し効率化・均一化を行います。アルチザンの技とテクノロジーの融合を図りながら、常に歩みを止めない技術開発が、カッシーナを業界のリーディングカンパニーたらしめている所以なのです。
06: 代表的なモデル
その1 「スーパーレジェーラ」から「ピロッタ」
1957年に発表された「699スーパーレジェーラ」は、超軽量の木製椅子として有名です。
デザイナーであるジオ・ポンティの軽さへのこだわりは、カッシーナの職人たちの心を動かし、前モデルの「646」より5年の歳月をかけて、この驚異的な軽量化を実現させました。
フレームは三角形に削り込むことで極限まで細く、シートは籐で張り込むことによって軽さと強度を両立させました。フレーム同士を継ぐ仕口は細さの中に強度を合わせ持たせるため、多面的なホゾが考案されました。その結果、「スーパーレジェーラ」はただ軽いだけではなく、建物の2階から落としても壊れないという高い強度をもつ、伝説の椅子になったのです。
2007年、カッシーナは蓄積してきた木加工技術の結晶ともいうべき椅子「ピロッタ」を世に送り出します。デザイナー、ロドルフォ・ドルドーニにカッシーナが依頼したのは、『カッシーナの木加工技術を余すところなく表現したアイテム』ということでした。「ピロッタ」には、立体的なカッティングや複雑な仕口を具現化し量産する、カッシーナの高度な木加工のノウハウが凝縮されているのです。
その2 「トリックス」から「ツインウォール」
カッシーナの木への姿勢が、木加工を徹底的に突き詰めてゆく「純化」だとすると、イクスシーのこだわりは「進化」だといえます。
定番商品となった「トリックス」テーブルは、45mm厚の薄い天板と45mm角の細い脚を互いにしっかりと固定させるため、天板の四隅と脚上部にアルミダイキャストのジョイント金物が埋め込まれています。
2008年、イクスシーからハイエンド向けのオフィス家具として「ツインウォール」を発表しました。特徴的なのは、W2400xD1900という大型のデスクが、38mm厚の薄い天板と、左右2枚のパネル脚で成り立っているところです。この構造が実現できたのは、芯材にアルミハニカムを使用しているためです。「ツインウォール」には、エボニー材という最高級木材を精度の高い木加工技術で仕上げる一方で、当社が長年に渡り培ってきたアルミ加工や、電子ロック機能などの極めて高度なテクノロジーが盛り込まれています。
イクスシーの木製品は、シンプルなデザインの内側に高度なテクノロジーを秘める「ハイブリット」なアイテムなのです。















