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Artist

馬場知子
Tomoko Baba

Biography: 1969
埼玉県生まれ

1991
女子美術大学芸術学部絵画科版画専攻卒業

1992
女子美術大学研究生修了

2000
文化庁芸術インターンシップ研修員

Exhibition: 1993
ギャラリー山口・東京 (’95, ’97, ’00, ’01)

1994 　
ギャラリー代々木・東京（’00）

1996
ギャラリールミエール・愛知 (’00)

2000 　
ギャラリーイセヨシ・東京

2002
OKUDA　Art&Craft ・埼玉 (’05, ’07)

2004 　
ギャラリー２１９・東京

2004
養清堂画廊・東京 (’07, ’09, ’12)

2005
ギャラリーアートデューン・静岡

2011 　
ギャラリーゴトウ・東京

2012
ギャラリーTURM・秋田

2013
ギャラリーゴトウ・東京

2014
養清堂画廊・東京

2016
ギャラリーゴトウ・東京

2016, 2018
ギャルリアンヴォル梅鳳堂・北海道

2018
養清堂画廊・東京

2020
ギャラリーゴトウ・東京

＜グループ展＞

1991
中華民国国際版画ビエンナーレ

2001
神奈川国際版画トリエンナーレ

2003
Trois-Riviere国際現代版画ビエンナーレ（カナダ）、文化庁現代美術選抜展

2004
文化庁現代美術選抜展、文化庁買上優秀美術作品披露展

2005
Liege国際版画ビエンナーレ（ベルギー）

2011
現代日本版画50人展（イスラエル）、日本現代版画展（中国）

2014
高知国際版画トリエンナーレ（高知）
“Formative Impressions”8ヶ国国際版画展（韓国）

2015
現代日本版画展（クロアチア）

2016
中日現代版画展（中国）

2020
現代日本版画展(セルビア)

Award: 2003
日本版画協会展　畦地梅太郎賞　

2004
文化庁優秀美術作品買上　
女子美制作研究奨励賞

2007
川口市芸術奨励賞

2011
佐野ぬい賞

2014
高知国際版画トリエンナーレ優秀賞

　　: 作品収蔵
文化庁
フランス国立図書館
ティコティン美術館(イスラエル)
畦地梅太郎記念美術館
女子美術大学
嘉南薬理科技大学（台湾）
国立台湾師範大学

　　: 何が描いてあるかわからない、という感想に「落書きですから」と答えることがある。真剣に。いや、正確には落書きのように描きたいと願っているのだ。
落書きの無作為は身体性と直結している。具象的な図像を持たない私の作品にとって身体感覚（＝自己）に如何に忠実かどうかが最も重要な基準であり大きな拠りどころでもある。また遊び心や即興性から生まれる線とかたちの意外性が私の感覚を新鮮に保ってくれている。銅版画は銅版を媒体として紙とインクの関係性において成り立つ。制作のためにはそのシステムの理解や扱う素材の属性を知り、それをコントロールしなければならない。確かに版という制約のなかで作為がなければ作品はできない。しかし作り手の意志を超えるものが現れるのもまた版画である。版という有機的なメディアを楽しみ、いかに新鮮な感覚を持ち続けられるか。
作為と無作為、必然と偶然の狭間で遊べば、純化された私という個が立ち現れるのだ。」
（版画芸術165号掲載文章より抜粋）

銅版画には多様な技法があるが、私は主にエッチングで作品を作っている。エッチングとは銅版を酸性の液体で腐蝕させることで作った凹部にインクを詰めてプレス機で高い圧をかけて紙にインクを刷りとる技法である。この「腐蝕」という物質の変容や「刷る」という行為で生じる間接性が、私をいつも予想とはちょっと違う着地点に連れて行ってくれる。版画は独自の言語を持ち、私はその”限られた”言葉を使い、他者性を受け入れながら如何に豊かなイメージを刻めるかを考える。近年は自ら漉いた紙に版を刷ることも多い。顔料を吸着させた紙繊維で、ドローイングをするように色やマチエールをつけた紙を使うことで私の「色」の表現の幅は格段に拡がった。（色は私にとって生理的なものに根付く大事な言葉である）例えば刷ったインクの青と紙繊維で描いた青、またそれらを重ねた青は表情が全く異なる。観念的ではなく質量のあるモノとしての色を認識し、作品の物質性を意識するようになった。身体を使って紙を漉く、版を刻む、刷る。「銅版」、「インク」「紙」、「身体（私）」、版画は制約が多いが有限のモノのあらゆる可能性を探りどこまで世界を拡げられるか。私はこのブリコラージュで真剣に遊んでいる。